試練とは英語でOrdealというのだよ

三十路に入れば、まだ親知らずを抜いていない、という人の方が少ないと思いますが、私もそのひとりでした。いつまで経っても出てこないし、きっと私は親知らずが生えてこない人なんだろうと思っていたくらい。

実際どこかで、下あごが狭い人は生えない新人類だとかなんとか聞いたことがあったのですよ。実際、私の下あごの歯並びは、楕円形じゃなくて、底辺がない台形。(汗)あごに向かってめっちゃ狭くなっていく感じです。

ところが去年歯医者に定期検診に行った折りにレントゲンを撮られ、撮ってみたらば、私の親知らずは歯茎の奥深くで前方に向かって横向きに生えてしたのです。しかも4本とも。水平埋伏智歯っていうらしい。これなんて読むの?(笑)

どーりで歯間がきつくきつくなってるなと。
フロスまでひっかかることもしばしば。

放っておけば放っておくほど、抜くのが難しくなるし歯が前に押し出されるよ、という歯医者さんのアドバイスに青ざめた私は、この親知らず4本を抜く決意をしたのです。


それが4月。
いつもいく歯医者さんはこういう口腔手術はしないので口腔外科医を紹介してもらい、レントゲン渡して、じゃあ6月中にやりましょうという話になりました。
今の健康保険で、年度末の6月末までにやると完全に無料だということで、さらにやる気が出て参りました。


その抜歯というより手術が先週の金曜日。
リカバリーも考えて、金曜が最適だと上司とも相談して決めました。
一応「手術」なので6時間断食。全身麻酔の予定で一人帰宅は無理なので必ず付き添いが必要。


金曜日の朝、緊張している私をよそに、ナースさんはDさんに「30分くらいで済みますから迎えにきてね」とさわやかに説明。4本抜くのにそんなもん?!

奥の部屋の普通の歯科の診療台よりちょっと大きめのリクライニング台に乗せられると、ふたりのナースさんがテキパキと作業を始めます。

「She said she's nervous. 緊張してるんだって、この子」
「Oh, there is nothing to worry about. エー、心配要らない要らない(^_^)」

と軽く会話をしてくれながら、左手には心電気を指にはさみ、血圧計を腕に装着。右では早くも肘の裏をアルコールで消毒。

あー注射きらいなんだよなー。
小学校2年生の時に覚えた「あっち見る作戦」で乗り越えようとか考えているうちに、右手のナースさんにゴムボールを握らされます。

左手にいたナースさんが私の後ろに回って髪をまとめ、ターバンみたいに顔のまわりを布で包みます。そして鼻に酸素用のゴムチューブ装着。

ほんとに手術って感じです。
ちょっと緊張が高まりつつある。

右手のゴムボールをぎゅっと握ってるうちにチクリ。
抜く感じがない。あ、麻酔は注射じゃなくて点滴か。

「See, that was the hardest part. ほら、一番大変なのはこれで終わりよ。」

と点滴のチクリで私の心配ごとは終わりですよ、と優しい言葉をかけてもらったところで、後ろから先生登場。顔も見えんまま軽く挨拶。

ナースさんが、
「You'll feel little light headed. ちょっと頭がフラフラしたような感じになるからね」

と言って私がオッケーと返事したかしてないかというくらいでもう記憶がございません。(笑)




ガリガリガリガリ

右の下あごに異様な圧迫を感じながら、そんな音を聞いたのを覚えてます。きっと私が反応し始めたから、ここでまた点滴の麻酔の量をちょっと増やしたんでしょう、次に目が覚めた時には、もう奥歯にガーゼが挟まってて、ターバンも器具も外されてました。


起こされて普通に起きようとした私を慌てて止めるナースさん。
よく覚えてないんですが、横に付けた車いすに座らせてくれました。


ここでまた記憶がとぎれる。



次に目が覚めたときは、リカバリールームという3畳間みたいな部屋の小さいベッドに寝かされていて、Dさんがよこに座って私の手を握ってました。

抜歯後の注意などの情報が詰まったビデオを観ているので私も観ようとするんですが、またフラフラ記憶が途切れます。

そして先生とDさんが話しているのが聞こえ、30分くらいは横になっていたそうです。そのあと結構スッキリ目が覚めて、Dさんに車に乗せてもらって帰宅しました。

それからなかなか止血できなくて、もらったガーゼに紅茶を浸したりして(抜いたあとの穴で地が固まるのを助ける成分が入ってるんだって)、ひたすらガーゼを1時間ごとに交換してました。

大変だったのはその夜。
血がちゃんと止まらないのでお腹空いても何も食べれない。
そしてジンジンジンジンジンジンジンジン痛い。

処方箋出してもらった痛み止め、オキシコドンを飲む。
これが奥さんすごい効き目!
痛みが圧迫感だけに変わるのです、見事に。

これ、モルヒネと似てる痛み止めなので、気をつけないといけないやつです。このお薬の中毒になるひとが最近アメリカで多いんです。このお薬目当てに薬局強盗とか普通にあります。気をつけて言われた通りかその以下の量を飲んでます。

1日目/2日目はソファで上体を起こしたまま寝ました。寝るっつーか、1時間ごとに起きるっつーか。口が開かないからあまり物も口に入れない。

3日目の日曜日、今度は顔がムクムク腫れてきました。
止血は完了したけど、横になると腫れが枕に当たって痛い。
しかも腫れがすごすぎて口が閉じれないのでよだれがすごい。

ので、タオルをよだれかけにして寝ました。w
4日目の月曜の朝、腫れはまだひどいので欠勤。
この4かで5パウンド近く減量。そりゃそうか。食べてないもんな。

月曜の今朝、まだ腫れてるけどちょっと引いたし、仕事これ以上休めないので出勤。
口もちゃんと閉じられるし。w

右の頬だけえーらい腫れてるので、髪の分け目を左に移して髪で今日は右頬を隠して仕事してました。(笑)


髪の毛よけて見せるとみんなすんごいビックリしてたよー。(笑)
そして気がつかなかったけど、アザも出てるらしい、今日。
誰かに顔を思いっきりぶん殴られたみたいで面白い。(おもろいか?w)
でもきっと本当に殴られたらこんな感じなんだろうなあ。

今は、何でも食べられるようになったらあれ食べようこれ食べよう、そのことしか頭にございません。

コリアンでしょー、ベトナミンのファーでしょー、お寿司でしょー、お好み焼きでしょー、Five Guysのバーガーも食べたいなあ。

減量はあっという間にリバウンドする予定。
うん、それでもいいんだ。
旦那さんがいるっていろんな意味でラク。(笑)