Reefer Madness
Reefer Madness: The Movie Musical [DVD] [Import]
- 出版社/メーカー: Showtime Ent.
- メディア: DVD
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
2作品以外全然観たサンダンス映画のレビューをしていないハシタンです。
開き直りで今日も別の映画のお話。(苦笑)
あ、でもこれもサンダンス映画だ。
DVDを先日買いました。
これは去年のサンダンス映画祭で発表された作品。
映画専門のケーブル局、SHOTIMEによって作られたので、そのあと劇場公開はなく、
SHOWTIMEチャンネルで放送されたそうです。
テレビで放送されなかったら、アカデミー賞のミュージカル部門にノミネートされてもいいくらいの作品です。たしか「うなぎ」が日本でテレビ放映されてしまったので、公開が遅れたアメリカでは資格なしになっちゃったとか聞いたことがあります。
このミュージカル映画は、もともとは劇場ミュージカル。
LAで評判をよび、のちにNYのブロードウェイでも上演。
その映画化です。
題材は、1930年代のプロパガンダ映画、「Tell Your Children!」(のちに「Reefer Madness」として再編集&リリースされたそうです。)
Tell Your Children!は、「危険なマリファナが10代の間で広がりつつある!」と警鐘ならすような内容なのですが、うそばっかり。
とにかく大人の恐怖心をあおって、集団ヒステリアを起こそうとしている内容です。
うそばっかりで、それがあんまりにもひどくてかなり笑えます。
優等生の主人公とそのガールフレンドが、気をつけていたにもかかわらず、悪い人たちに巻き込まれてマリファナを吸わされてしまい、彼らの人生が台無しになってしまう、というお話。主人公は殺人を犯してしまい、刑務所に入れられます。
なにがうそばっかりかって言いますと。
たとえば、ジョイントに口をつけたとたんに役者の表情が一転し、幻覚をみたり。
(幻覚はみないそうです。ハイになるのも吸った瞬間てわけないそうです。)
スローガンが「マリファナは健康なタバコに見せかけた悪魔」、とか。
(タバコは健康に害はないと当時は思われていたんですって。実際はタバコは中毒性もあるし、健康に悪いですよね。マリファナのほうがよっぽど体に悪くないそうです。)
覚せい剤中毒者みたいに落ち着きがなかったり、あっちこっち痒そうに掻いていたり。
(ハイな人はのんびりしていて、腰が重いそうです。w)
マリファナはコカインよりも何よりも、一番ひどい麻薬だ、と力説したり。
(中毒性がないマリファナがコカインよりもひどいなんてありえませんね。)
マリファナのディーラーが専用のオフィスを持っていて、壁にクリップボードが下がってたり。(笑)(こっそりやってるもんなんじゃないの?オフィスもってどうするよ!w)
なによりもすごいのは、マリファナ中毒になると、精神病にかかる、という宣伝。
30年代当時のメディアつったらこんなうそばっかりで渦巻いていたんでしょうか。
笑えます。
それじゃあ思いっきりリメイクして笑っちゃおう、という感じの作品が、このミュージカル映画。
DVDにこのオリジナルのプロパガンダ映画が入っていて、うれしかったです。
白黒の、きったないフィルムですが。
メイキングによりますと、このプロパガンダ映画を製作して宣伝して歩いた人は、当時ナイロンという新しい素材で服を作り始めた実業家で、彼の最大のライバルが、麻(hemp)製品で成功していた人なんだそうです。
この映画によって、麻=マリファナ=中毒=精神病=邪悪というイメージをしっかり社会に植え込んだナイロン製品会社が、ビジネス上で勝利し、麻製品が製造中止に追い込まれたというわけ。
結局これですよ、経済的な理由なんですよ、社会のモラルがどうのとかいいながら。
でもまあ、人の恐怖心を煽って何かをとんでもないことを達成しようというのは今も同じですよねえ。
ねえ?ブッシュ大統領さんよう。
ま、そういう背景をも小ばかにする感じのこのミュージカル。実にうまくできてます。
イエス・キリストが、主人公を説得しようとするシーンがあるのですが、
これまた「もしイエスがラスベガスのショーをやっていたら」という感じの
なりゆきで、金のマイクとか持っちゃった、ムキムキのイエスがトム・ジョーンズの
ようなキャラなんです。(笑)
なんか、まったくうまく説明できてませんが、おすすめします。(笑)
追記:もちろんこの映画はマリファナをおすすめしているわけでは決してありません。私もおすすめしません。ただ、化学的に言ってもマリファナは嗜好品程度の影響なんだそうです。お酒やタバコのほうがよっぽど悪い。そう考えると、オランダで合法ってのもそんなにビックリするような話じゃないですね。
マリファナに関しては日本ではまだまだ間違ったイメージや知識が社会にあふれていて、30年代のアメリカの親の知識とさほど変わりない?気もします。