ILL Conference

(今日はマジでお仕事の話です。いつも以上につまんないかもヨ。w)

今週は昨日と今日と、conferenceでした。
Conferenceって辞書によると、会議とか相談となってますが、
一般的には、学術系団体の大規模な会議や、ワークショップ、論文発表なんかがおこなわれたり、企業系では同業者が集まってのワークショップや、ブースをならべてそれぞれが新製品の紹介をしたり、なんでしょう、日本語で言う展示会のような役割を果たすイベントのことを言います。

私が参加したのは、うちの大学図書館が所属するグループのひとつである、
アメリカ西部を中心とした大学図書館のグループの、ILLのconference。

ちなみにILLとは、Interlibrary Loanの略で、図書館同士の本の貸し借りや学術記事のコピーを提供しあって、お互いのコレクションを補うような役割を務めるサービスをする部署です。

規模は50人程度だったので、大きな会議を一日中やる、といった感じでした。
その中でそれぞれの大学が新しいプログラムやコンセプトを紹介してみたり、
ILLシステムのいろんな機能のワークショップをやったり、
グループとしての今年の成果と来年の目標を話し合ったり、
そんなこんなで一日が過ぎていきました。


私は今回初参加。
いつもはジーンズとTシャツなのに、浮かないようにとジャケットなんか
きちゃったりして。
いつもはコロラドで行われるので、上司しか行ってませんでした。
今年は、ソルトレイクということで、職場を信頼できるバイトのみなさんに
任せて、スタッフ全員参加です。


西は南カリフォルニア、東はアーカンソー、南はニューメキシコ、北はネブラスカと、あっちこっちからみなさんおいでになりました。

感想は、とにかく刺激になったこと。
ILLの業務のためにAccessFilemakerをマスターする人がいるのはわかりますが、プログラミングにまで手を出している人が何人かいました。
脱帽です。
図書館業務にもITの波が押し寄せています。
もうIT部門に頼っているだけのILLじゃだめみたい。
私も勉強せねばという気持ちにさせられました。

新しいコンセプトを実際に試行している大学の発表があったんですが、
とくに目からウロコが落ちたのが、アリゾナ州立大学。
なんとそこの図書館、24時間開いているそうです。
うちでも深夜2時ごろまであけてますけど、24時間ってびっくり。

じゃあ夜のスタッフは仕事量が少ない上に残業給料で不公平だ、
と普通は思うものですが、なんとこの図書館は普通の図書館の概念を
ひっくりかえして、Circulation, ILL, Reserveなどを合わせた総合部署を
作ったそうです。
これは、Corss-Trainingという、部署間でお互いの業務を教えあう、という新しい試みの結果なんだそうです。
そうすれば、誰かが欠勤してもバックアップがいくらでもいる上にしわ寄せが
ほとんどない。しかも夜のスタッフも常にやることがあるし、週末もILL業務をやれるので、月曜日に仕事が溜まっている、ということがない。


すんばらしいコンセプトです。


しかもそれぞれのオフィスを数珠繋ぎに並べたので、夜のスタッフがいつでも
通りかかって、やるべき業務を拾っていくそうです。

別の大学でも、サービス部署を合体させるようにオフィスを固め、
しかもスーパーデスクなるたったひとつのデスクを置いて、利用者が
どういう用事で来ても、そのデスクで対応できるようになっているそうです。
図書館の利用の仕方がまだよくわかっていない学生が、たらいまわしになる
ことがこれでなくなるわけですね。

「あーそれならうちの部署じゃなくて、あっちの部署です。階段を下りて右を曲がって・・・」なんて言う説明、しなくていいんですよね。
これもいいアイデア


小さい図書館なら、部署を合体させるなんてはなからやっていると思うんですが、数百万冊の蔵書があって、一日の平均利用者が数千人規模の大学図書館にとっては、本当に「目からウロコ」なアイデアなんですよ。

図書館ってところはそれに、変化を嫌う年配のスタッフや司書が常にいるもので
こういう改革的なチェンジってこれまで長年なかったと思うんですよ。


うちの部署ももうちょっと積極的になってくれたらいいのになあ。
昨日、会議の後、参加者でわいわいやるレセプションがあったのですが、
上司は人見知りが激しいし社交的じゃないのでさっさと帰ってしまいました。

一応、開催地の大学図書館ですから、いろんな人たちと話をするのも
大切だと思い(それに私わりと社交的なので)、ひとりで残ってできるだけ
いろんな人と話をしました。


改革にすごく積極的なILL部長さんとかと話すとホント、いい刺激になります。
チャンスがあればあなたを雇いたいわーなんて、冗談でしょうけど
ワインを片手にそうおっしゃるのでちょっと照れました。

あ、そうだ、企画した大学図書館の人が、実は神戸に住んでいたことがある
ということがわかり、かなり神戸話で盛り上がりました。
私が生まれる直前に、2,3年だけということでしたが、たくさん日本語
覚えておられてびっくり。
現在六甲アイランドにある、某インターナショナルスクールの図書館で
司書をやっていたそうです。大学院出てピチピチのときよ〜なんて言いながら、
「若いときにしかできないことをやろう」と思って、院で司書の資格を取って
あとすぐに日本に渡ったそうです。

日本語も全くわからないまま行ったので、はじめはかなり戸惑ったそうですが
電車にとびのって京都に行くのが好きだったそうです。

京都の大学からこっちに編入した折を話すと
「京都を去るなんて!信じられない!」と驚かれました。
彼女はビューティフル京都が忘れられないそうです。


まあ、アメリカ人の観点からしたら、京都を出てなぜにユタに行くって
思うんでしょうねえ。たしかに京都でアメリカ人留学生にもそう言われたなあ。
「なんでユタなんかに?!」って。
なんかってなんだよ、オイ。

ここはここでいいところがあるのさ。